高橋晋弥先生が解説する「世界経済全体に影響を与える原油価格の今後の見通し」

昨年3月にロシアのウクライナ侵攻によりロシア産原油が禁輸となり原油価格は上昇しました。その後、昨年6月にピークをつけたあと、下落基調にあった原油価格が今年7月から再び急騰し始めています。まずはその原因から解説します。

1.「OPECプラス」が今年7月から2024年末まで減産計画を発表

石油輸出機構(OPEC)加盟国など主要産油国からなる「OPECプラス」が、来年末にかけて日量計366万バレルの減産を続ける計画を発表しました。2020年3月の新型コロナウイルスによって世界的に経済活動が停止し、原油価格が暴落した過去の教訓から、再び暴落するのを阻止し、原油価格を下支えするために来年末まで減産するとの見通しが示されました。それにより、現在原油の供給量が減少し原油価格が上昇しています。

2.中国の景気後退懸念が払拭

中国の景気後退が懸念されていたことで中国での原油需要の減少が原油価格の上値を重くしておりましたが、直近で中国の経済指標の伸びが加速し、中国景気回復期待により原油価格も高騰しています。

3.世界的な天候不順や災害による自然エネルギーの停滞

経済回復により、エネルギー需要は拡大する中で天候不順や自然災害で自然エネルギーの供給が減少しています。そのため、化石エネルギーに頼らざる負えなくなり、原油価格の上昇のみならず電気やガス料金の上昇へとつながっています。

4.AI取引による原油先物取引の自動化

AIによる原油価格の取引が全体の取引の80%を占めるというデータがあるように、トレンドが形成されるとアルゴリズム取引で実態以上のトレンドが形成される可能性もあり、大衆心理を利用したAIによる取引も影響していると思われます。

原油価格が上昇すると経済活動に必要なコストそのものが上昇しコストプッシュインフレに陥りやすくなります。そうなると原油が取引される米ドルの需要も高くなり、結果的にドル高を招きやすくもなります。このように世界経済を分析する上で原油価格の動向は極めて重要です。

仮に一部の要因で原油価格が下落したとしても、供給量が増加する見通しが立たない限り原油価格の上昇を抑えることは現状では難しいと考えています。原油の埋蔵量は有限であり、自然エネルギーは不安定性が強く、今年の年末にはさらなる原油価格の上昇の可能性が高いとみています。

会社名:エドワード・ジョーンズ・インベストメンツ(Edward Jones Investments)

設立:1922年

創設者 : エドワード・D・ジョーンズ

本社所在地 : 12555 Manchester Road Saint Louis, MO 63131 United States

日本支社:東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー43階

公式サイトです: https://www.edwardjonesfx.com

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